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大阪の企業法務弁護士 長谷川洋平です。
本日8月17日,大きなニュースが入ってきました。
「内閣府が17日発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は,年率換算で27.8%減った。新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17.8%減を超える戦後最大の落ち込みとなった。」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62699240X10C20A8MM0000/
緊急事態宣言により経済を止めたわけですから,これくらいの落ち込みは予想の範囲内だと思いますが,一度停滞した経済をもう一度動かしも元には戻りません。コロナ前の水準に戻るのは,数年かかるでしょう。
そのため,当座の資金繰りは何とかなるが,先が見えず,廃業を考えているという経営者が,多くなってきています。
特に観光業や飲食業など,対面型のコト消費ビジネスにおいて顕著だと感じます。
「金は借りれるが,果たして返せるのか,そのビジョンが描けない。」
「でも廃業(破産)したら,個人保証が返せない。」
「カードも作れず,融資も受けれず,再起できないのではないか。」
「自宅や財産もすべて手放さないといけないのか。」
という悩みです。
こういった真面目に頑張ってきた経営者には,再起のための方策があることを知っていただきたいと思います。
それが,「経営者保証ガイドライン」を利用した廃業という方策です。
経営者保証に関するガイドラインとは,経営者保証が早期の廃業や事業再生を躊躇させる原因になっていたことを受けて,破産せずとも金融機関から保証債務の免除を受けられるように制定されたガイドラインです。
ガイドラインとは,法律ではないのですが,政府や団体が指導方針として示している指針,指導目標をいい,経営者保証ガイドラインの場合も,平成26年以降,これに則った実務が積み重なってきています。
この経営者保証ガイドラインの活用には,破産と異なり,以下のようなメリットがあります。
・取引先を巻き込まない。
・自宅を手元に残せる可能性がある。
・破産の場合に手元に残せる99万円に加え,一定期間の生活費として99~363万円の現預金などを手元に残せる可能性がある(事案によってはこれ以上残せる可能性もあります。)。
・CICやJICCなどの信用情報機関に登録されず,再起が図りやすい。
具体的な手続としては,法人と共に再生支援協議会や裁判所の特定調停の手続を利用する場合や,法人は破産して保証人のみ特定調停を利用する場合などがあります。
いずれにせよ,金融機関と交渉し同意を得ることが必要になりますので,数字に強く,事業再生や破産管財などの経験のある弁護士に依頼する必要があります。
利用の要件など詳しい内容は,次回以降書いていきたいと思います。
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