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大阪の企業法務弁護士 長谷川洋平です。
前回,経営者保証ガイドラインには,以下のようなメリットがあるとご紹介しました。
・取引先を巻き込まない。
・自宅を手元に残せる可能性がある。
・破産の場合に手元に残せる99万円に加え,一定期間の生活費として99~363万円の現預金などを手元に残せる可能性がある(事案によってはこれ以上残せる可能性もあります。)。
・CICやJICCなどの信用情報機関に登録されず,再起が図りやすい。
では,どういった場合に,この経営者保証ガイドラインの利用ができるのでしょうか。
ガイドラインに記載の要件をまとめると,以下のすべてを満たす人です。
① 中小企業の借入れについて保証していること
② 保証人が個人であり,借入れをしている中小企業の経営者であること(取締役でない実質的経営者,経営者の配偶者なども含む。)
③ 中小企業,保証人の双方が,弁済に誠実であり,財産状況を適時適切に開示すること
④ 反社会的勢力でないこと
⑤ 主債務者である中小企業が,破産などの法的債務整理手続または特定調停などの準則型私的整理手続の申立てを,経営者保証ガイドラインの利用と同時かその利用までに行うこと
⑥ 対象債権者にとっても経済的合理性があること(ガイドラインを利用した方が多く回収できるということ)
⑦ 保証人に浪費,ギャンブル,不公平な弁済を行ったなどの免責不許可事由がないこと,ガイドラインの利用までにそのおそれがないこと
誤解を恐れず一言で言えば,「誠実な(不正をしていない),中小企業の経営者」であり,「ガイドラインの利用により金融機関も得をする」場合に,「裁判所などの公的機関を使って手続を行う」ことが,求められているということです。
また,標準的な手続の流れは以下のようになります。
① 金融機関に対し,返済猶予などの要請を行う
② 弁済計画案を作成する
③ 弁済計画案について,すべての金融機関等による承認を得る
④ 弁済計画案に基づき保証債務の一部を支払う
⑤ 残った保証債務の免除を受ける
すなわち,金融機関に対して一定の弁済計画案を提出し,これが破産の場合に比べてメリットがあることを納得してもらい,残った債務を免除してもらう,という交渉がメインになります。
そのため,通常の破産申立てに比べると,骨の折れる案件となります。
しかし,経営者の再起のチャンスを得ることを一番に考え,弊所では全件について経営者保証ガイドラインの適用を検討しています。
うまくいったときの喜びが大きく,やりがいのある案件です。
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