長谷川経営弁護士事務所

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2020.03.28

残業代の時効

本年3月27日の参議院本会議で改正労働基準法が成立しました。

残業代などの未払賃金を,過去にさかのぼって請求できる期間(いわゆる消滅時効)が,現行の2年から「当分の間」3年に延長されます。

「当分の間」とは,珍しい表現ですが,実は微妙な理由があります。

4月1日から施行される改正民法で,消滅時効が改正され,一般に期間が5年となることになりました。

残業代などの未払賃金は,改正前の民法では,1年で消滅時効にかかるとされていたのですが,労働者を保護するため,労働基準法で2年に延長されていたのです。

ところが,民法改正により民法上の時効の期間が5年となったため,労働基準法が,かえって時効期間を短く修正し,労働者を不利にしてしまうという逆転現象が起こることになったのです。

そのため,労働基準法も改正の運びとなったわけですが,いきなり2年が5年となることは,経営者側へのインパクトが極めて大きいとして,強烈な反対論がありました。

その妥協の産物として,法律上は5年になりましたが,当分の間は3年ということにする,という玉虫色の解決で折り合いがついたというわけです。

ちなみに,「当分の間」とは,本年4月1日から5年経過以降,情勢をみて見直しを検討する,ということのようです。

なお,延長の対象になるのは,この4月に支払う分からになります。

厚労省の資料のリンクを貼っておきます。

https://www.mhlw.go.jp/content/000591650.pdf

いずれにせよ,経営者として未払残業代はゼロにしなければなりません。

ここ数年はかなり意識が高まってきていると思いますので,

こんな改正関係ないよと言えなければ,経営者としては甘いといわざるを得ないのでしょう。

固定残業代の定めを就業規則に定めるなど,工夫しましょう。

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